犬のびっこも骨盤調整で正常歩行に

～ペットも家族。柵につまずいてびっこを引いていたのも治りました！～

　（静岡県伊東市）

Aさん夫婦は、静岡県伊東市で民宿を経営しています。
以前、私が腰痛の治療をして差し上げたご夫妻です。

今回は、Aさんの飼い犬の骨盤調整をしたお話をご紹介させていただきます。

（最初にお断りをさせていただきますが、私はもちろん、今後、犬の治療をすることは考えておりません。ただ、骨盤調整法が、特に腰の諸症状、股関節脱臼の改善に多いに貢献していることは実証されておりますし、犬の治療であってもそれを証明できれば、それはまた新たな事例として、多くの方にご理解いただける機会になると思い、お引き受けしました。）

Aさん夫妻のワンちゃんは、柵につまずいてから、少しびっこを引いて歩くようになりました。また、着地しているときも、左後足のかかとを持ち上げているおかしな恰好が続いていました。 最初、ご夫妻は、動物病院に連れていき、レントゲン検査をしたのですが、具合が悪いところがわからなかった為、獣医さんからは、「全身麻酔してMRIでどこが悪いのか確認してから治療しましょう」と言われたそうです。
（犬に、全身麻酔でMRIとは・・・。）

そんな折、所要で横浜に行くことになり、
「かつて自分たちが腰の治療で世話になった佐々木治療師のところへ行って相談してみよう。」
「人の足腰が骨盤調整で治るのだから、犬も骨盤調整すればきっとよくなるに違いない。」
「確かに犬の治療は専門外だろうし、申し訳ないけれど、なんとか頼んでみよう！」
という話になって、久しぶりに当院を訪れたのでした。

相談された私自身は、犬の治療は初めてですが、本来、犬は安産の像を形づくる程に骨盤は安定しているから、びっこを引いた程度なら軽快するのではないかと考えました。

犬の骨盤調整を最初に施術したのは、骨盤調整法の創始者である亡き、五味雅吉先生です。

今から２０年以上も前の講習会の席上で、（知人に頼まれたらしい）犬の骨盤を人間並みに調整すると、体調回復し、便秘で困っていたワンちゃんが受療のあくる日からスムースに排便するようになったとの話を聞いたことがありました。

しかし、それ以降今日までの間、犬を骨盤調整した話は私自身聞いたことはなく、骨盤調整法が世に生まれてからの長い歴史の中で、今回の私の調整は２例目になると思われました。

もし、噛みつかれたり、吠えられたら困るなという思いが、一瞬頭をよぎりましたが、愛情をもって接すれば大丈夫！と思い直し、思い切って引き受けました。

犬の骨盤調整も、施術さえ速やかにできれば、びっこも解消できる筈。
なぜなら、犬も人間も正常に復帰しようとして働いている自然治癒力があります。
我々治療師の役割は、本来備わっている自然治癒力が十分発揮できるように心を込めて、愛情をもって接し、施術すること。
もし、その愛情や感情が相手の犬に伝わらなければ、失敗に終わるのだ。 以前に読んだ本の一説に、「犬は、初対面の人間が、犬好きなのか犬嫌いなのかを、最初に見分けることから始める」とあったことを思い出しました。
犬は、犬が大好きな人には喜んで近づきますし、嫌いな人には近づかないものだと。

私は、私なりにAさん夫妻の飼い犬に全面的な握手求めて接することを心に決め、人間の乳幼児の治療と同じ要領で、やさしく犬に呼びかけながら骨盤調整をしました。

治療当日は、ほかの患者さんもいましたので、ただただびっくりして見つめていましたが、無事施術が終わると皆ほっとした顔になり、微笑んでいました。

結果はあくる日の、２０１５年４月１８日（土）午前に、Aさんからの電話で「普通に飛び回って元気よくなりました！何より晴々とした顔つきになってうれしいです！」と弾んだ喜びの声が届きました。
人も犬も最大の急所は骨盤（仙腸関節）です。

余談ですが・・・
今回、犬の治療をするにあたって、もう一つ、心の中に思い起こされた忘れられない思い出があります。
それは、私が幼いころ、実際に見た、忠犬ハチ公の生きているときの姿です。
せっかくですので、ここに書き記したいと思います。

それは、私が５歳ぐらいの時、母に連れられて埼玉の久喜市に行ったときのことでした。
玉電で渋谷について、当時の市電・渋谷終点駅と向かい合わせの渋谷駅山手線に乗る切符を買う為に、母は私の幼い手を痛いほどしっかり握りしめて歩いていました。
すると母が突然立ち止って身をかがめ、
「正ちゃん、あそこにすわっている犬を見てごらん」と指を差し示しました。
その先には山手線渋谷駅改札口入口手前。一匹の犬が座っていました。

「あの犬はえらい犬なんだよ。ご主人さんを家から駅まで毎日送り迎えしていって、今はご主人さんが死んだのに、それを知らないから生きているときと同じように帰ってくると思って待ち続けている。とっても忠義な犬なのよ。忠義のお手本の犬だからよく見ておきなさいよ」

そう言った母の声、じっと佇むハチ公の姿、少しよそ行きのカスリの着物姿の自分が、今でも、私の心の中の写真として残っています。

改めて今回の犬の施術に当たりまして、そんな思い出を思い起こしつつ、自らの心を引きしめて臨んだこともお伝えしたく思いました。

最近、秋田県のハチ公の集会で、渋谷駅長さんが「ハチ公はおもいやりがあり、（ご主人を）裏切らない」という言葉で表している記事を読みました。

このたびの治療では、ご主人の介助の手の中で、治療師の私を信頼し、おとなしく治療を受けたAさんの飼い犬に、まさしく同じ思いを感じたのでした。