「く」の字の背骨が真直ぐに！

M.Hさん　（男性　46歳　大手保険会社事務職　坂戸市）

　M.Hさんが、初めて当院に来たとき、顔は痛みで歪み、玄関も真直ぐ入られず、奥さんに体を横抱きされやっとの体勢、まさに痛々しいギックリ腰でした。

数年前からの慢性の腰痛が4ヶ月前にひどくなり、病院で注射、薬、牽引を繰り返し、鍼治療でも良くなるきざしも見えず、医者は手術を勧めるものの、「手術をしても、治るかどうかは５分５分」と言い添え、そうこうするうちに、ある朝起き上がる時にギクッとなり、全く動けなくなったのでした。奥さんが書店で「腰痛苦しんだのが嘘みたい：五味雅吉著」を見つけ、その日当院へ来院したのでした。

M.Hさんは長年のデスクワークで、自然に首を傾け、腰を横にずらして座る癖がついていました。その悪い姿勢のツケが出たのが数年前で、その時は整形外科の鎮痛剤で治まったように思いましたが、今回の痛みはどうにもなりません。
「こんなに体が曲がって真直ぐになりません。どうか伸ばしてください。」悲痛な表情で訴えるM.Hさんの背中を早速、診てみますと、まさに腰椎が鋭く「く」の字に湾曲しており、今にもそこからポキッと音をたてて折れるかと思うほどでした。しかも腰部一帯の肌は、赤茶と黒を混ぜた色に変色していました。これは一朝一夕でなったのではなく、長い年月をかけて、ゆがみ続け、限界にきたところでのギックリ腰です。腰を触診するとやはり、大きく仙腸関節が狂っています。この骨盤の狂いが今日の結果を招いていますから、先ずはそれを正さなければなりません。

　「く」の字の体が寝やすいように、毛布を丸めてあてがい、緩やかに施術を行いました。
一通りの施術が終わりますと、M.Hさんは、「痛みはまだありますが、なんとか歩けます。治っていく希望が持てました。」とバラコンバンド（腰痛ベルト）を骨盤にしっかり巻き、帰宅されました。
それから約１週間連続治療をしました。だんだんと声にも張りが出てきて、「今日、家の中がやっと片付きました。自分の部屋からトイレまで、一歩移動する度に、座れるように家中の椅子や箱を廊下に並べていたのです。」と嬉しそうに報告してくれました。
さらに２週間経ち「３月末の人事異動までに出勤できるでしょうか？欠席裁判で、望まない所に異動されたくないのです。」と少し心配顔で言われました。
「大丈夫ですよ。きっと出勤できますよ」と励ましますと、その後も熱心に受療に励み、初診日より約１ヵ月後、希望通り人事異動の前に会社に復帰できたのでした。

　M.Hさんは、もう２度とあの時のようになりたくないと、年に数回受療に見えています。ご本人の努力もあって、あれ以来一度の再発もなく、元気に会社勤めをされて、数年前、定年退職をしたのでした。家庭菜園を楽しみながら、悠々自適の生活を送っておられます。

　左の写真は治療２ヵ月後（'89.4.13）の少し加減の良くなった頃、奥さんにポラロイドカメラで写してもらったM.Hさんの写真です。
真ん中と右は治療10ヶ月後（'90.1.15）
下の写真は現在のM.Hさん（2007年撮影　64歳）の写真です。
比較すると、「く」の字状の腰椎が治っているがお判りになると思います。

今回「自分のように苦しむ人に治療のきっかけになれば」と写真をご提供くださいました。（M.Hさんありがとうございました。）