難産による出生時からの歪みを、８年かけて克服

H.Kさん（男性　２６歳　運送業　埼玉県大里郡寄居町）

H.Kさんは、関東全域の建築現場へ防災器具を届けるドライバーです。毎朝４時には仕事に出発します。

そんなH.Kさんの、右半身が痛むようになったのは、２０歳の時です。以来６年間、整形外科をはじめ、鍼、マッサージと回り、とうとう東京の大病院でレントゲン、MRI、精密検査と徹底的に調べてもらったのですが、医者が出した結論というのは、「原因不明の痛み」でした。さらに、「精神的なものかも知れないから、心療科へ行くように」との指示でした。
心療科でも、「異常なし」の診断が出ると、H.Kさんは、すっかり途方に暮れてしまいました。「いったい自分の体は、どこで診てもらったらよいのか．．．。」

そんなH.Kさんを救ったのが、清瀬市に住む親戚の叔母さんでした。知り合いが、自然良能会の所沢支部で、なかなか治らなかった腰痛がよくなった、という話をしてくれたのです。さっそく所沢支部を訪ねますと、「寄居でしたら、東松山支部の方がお近くですよ」と紹介されて、当院へ来院されたのでした。

「叔母が貸してくれた自然良能会の本を沢山読み、自分の体の具合が悪いのは骨盤が歪んでいるからで、きっとこの治療でしかよくならないと思って、今日来ました。どうか、よろしくお願いします。」とH.Kさんは、私に頭を下げました。
（そう言われ、ひとしお治療師として、気合が入ったのでした。）

生まれてから、２０歳まで大病もなく、たいした怪我もせず、交通事故にあったこともないというH.Kさんでしたが、その体には、異常なまでの歪みと固さがありました。
ここ５年や１０年で、後天的に歪んだものとはとても思えないものでした。
右半身の脚は、くの字で真直ぐに伸ばせない状態。右臀部は盛り上がり、腰から上は波打って、肩に至ると岩のようにガッチリと固くいかり肩でした。さらに、首の骨の３番が、右に大きく突出していたのです。まるで鉄の塊のような硬さでズレ出ていたのでした。

ほうぼう回り、精密検査までしても原因不明といわれたH.Kさんでしたが、もしやと出生時の話を聞いてみると、H.Kさんは相当な難産だったらしく、やっとの思いで生まれてきたということでした。出産は母体だけでなく、赤ちゃんにとっても大仕事で、そのときよほど無理な力が加わり、体がよじれて歪み生まれてきたのではないか、そして歪みをもったまま体は成長していき、大人の体になったとき歪みが限界に達し、右半身の痛みとなって、現れたのではないかと、H.Kさんの異常に歪み、固まりきった体を診て、推測したのでした。

右腰、右首筋を中心に右半身が痛む、腕にも痛みがある。さらに、「夜、寝ていると、急に呼吸ができなくなり、息が詰まって目を覚ますことが度々あるんです。」と困惑ぎみに訴えるH.Kさんに、「大丈夫ですよ。これは、直接的には、首の骨が大きくズレて気道を圧迫する為におきる現象ですから。これから骨盤を整えて、首の調整をすると、今夜はよく眠れるようになりますよ。」と説明し、治療に取り掛かりました。
治療後、腰と肩にバラコンバンドを巻いたH.Kさんは、「本では読んでいましたが、本当に希望が持てました」とハッキリと見開いた力のこもった目で、うなずいたのでした。

私に骨盤調整法を指南した亡き五味雅吉会長はよく言われていましたが、「２０年掛けて悪くしたものは、２０年。１０年掛けて悪くしたものは、１０年かかる。」
それほど、長期で歪め続けた体の治療には時間がかかるものです。
H.Kさんは、都内の渋滞を避けるために、早朝納品を続けながら、根気よく受療を続けました。

そして初診から８年、さしも難攻不落といえる程に狂い固まっていた骨盤、要塞の銃眼のようにズレていた頚椎も、今は（2008年3月現在）、ほんのおしるし程度の跡があるまでに、回復したのでした。
現在も、毎週２回、トラックのエンジンを響かせ、通院されています。

当院では、妊娠中の方をはじめ、乳児でも生後３ヶ月より、骨盤調整を行っております。骨盤に歪みがあると、難産になることがありますが、難産のお子さんには、早めに一度、受療されることを願っております。長年苦しまずに済みます。